第16章 不倫がそんなに誇らしいわけ?

中尾美希は中野蓮のことばかり気にしていて、裁判所からの呼出状の件をすっかり忘れていたらしい。

中野航平に尋ねられて、ようやく不安そうな顔を作り、書類を差し出す。

その目の奥の喜びは、隠しきれないほどだった。

まさか長谷川栞が、こんな大きな“贈り物”をくれるなんて。

先日、病院で中野航平に離婚する気がないと確かめた時は、帰ってから一晩じゅう腹が立っていた。どうやって長谷川栞に嫌味を効かせて、自分から離婚を言い出させるか――そればかり考えていた。

それがどうだ。

長谷川栞は空気が読めるどころか、いきなり裁判所に離婚を申し立ててきたのだ。

最高じゃない。

これなら中野航平が拒もうが...

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